こんにちは、クチコミデザインの伊堂寺義則です
先日、生まれて初めて入院して、手術しました
ボクと妻は「骨髄バンク」にドナー登録しているんだけど、昨年の夏に「今回、骨髄移植のドナー候補者に選ばれました」というお知らせがきてね
妻も同意して、半年前から何度も通院して準備して、ボクの骨髄を提供してきたというわけ
もう退院して順調に回復してるし、痛みもほとんどない
今日からやっとお風呂も解禁になった〜
あなたは「なぜドナーを引き受けたの?」と思ったかもしれないね
確かに、身体的なリスクもあるのに、やったのには理由がある
それはボクの子ども時代からの家族のストーリーがあってね・・・
今回はプライベートなことで長くなったけど、オチはマーケティングのことを書いたから読んでもらえるとうれしい

先生や看護師さん、移植コーディネーターがチームで丁寧に対応してくれた
今回ボクはドナー(提供者)だったから、短期間(4〜5日)の入院で手術までやった
ただ、それまでに健康診断や説明や最終的な同意や自己血採取などで、全部で10回は病院に行くことになる
あんまり詳しく書くとグロテスクな感じになってしまうけど・・・
全身麻酔をかけて、腰の骨の中に針を刺して、骨髄を採取するという手術
人によって違うけど、ボクの採取量は約1ℓ
その際に結構な出血を伴うので、あらかじめ自己血(自分の血液を事前に貯めておく)を2回に分けて貯めて、手術中に輸血で戻したりした
朝一番で手術して、お昼前に無事終了
手術の前夜から絶飲・絶食だったから、手術後は夕方まで点滴を入れながら安静
傷口はまだ痛くて発熱もあったけど、夕食時には点滴や尿道のカテーテルも全部外れて元気モリモリ食べることができた
人工呼吸器を付けていたので、喉の痛みや食欲がなくて食べられなかったり、食事時間を3時間ずらしたりもするらしいけど、ボクの場合は食欲のほうが勝っていた(笑)
傷口の止血の具合も順調で大丈夫な感じになったから、数日後には退院できたよ

全身麻酔から覚醒後、第一声は「指輪をはめて」妻に指輪をはめてもらう
ボクはありがたいことに今まで健康で、入院どころか、病院に行くことすらなかった
入院も、全身麻酔も、手術も初めて
ただ、自分が病気じゃないとわかっていても、体に針を刺すわけだから100%安全という保障はない
「オシッコの管を入れられるのイヤだな・・・」(痛かった〜)
「全身麻酔からきちんと目が覚めるかな・・・」(不思議な体験!)
「もし後遺症とか出たらどうなるんやろ?・・・」(大丈夫そう)
同意はしたけど、そんな不安や心配が消えなくて1週間前ぐらいからドキドキして、手術前日は緊張感マックスで全然眠れなかった
手術が終わって、家族と話せること、食事を取れること、歩けること、トイレができること
前日まで当たり前にできてたことが「こんなにありがたいことなんだな」って感じたね
人の気持ちは比べることはできないけど、ちょっとだけ病気やケガで入院している人たちの気持ちがわかった気がする

予定より早く酸素マスクが外れたので、妻が吸ってる(笑)なんで?
あなたは「なぜそこまでしてドナーを引き受けたの?」って思ったかもしれないね
確かに、手間もかかるし、仕事も止まる
提供したからといって、お金が出るわけでもない
ましてや助ける患者さんは、家族でもない見ず知らずの人
最終同意してからは、風邪や病気になってはダメなので、この1ヶ月、ボクと妻は誰とも会わず引きこもっていた(笑)
時間も拘束されるけど、なによりイチバンは身体的なリスクもあるということ
それでもやろうと決心したのは、亡くなった母を助けてるような気がする、という個人的な気持ちからなんだよね
ボクの両親はどちらとも大病して亡くなった
父はボクが中学生になったばかりの頃、母はボクが学校を卒業する頃に罹ってしまってね
だから我が家は経済的に苦しかったし、何より病気の人を抱える家族の気持ちがよくわかる
そして母が患ったのが白血病だったから、ボクと妻は少しでも社会貢献と思って、以前からよく献血に行ってたんだよね
そこで骨髄バンクの人に声をかけられて登録したのが3年前
最初のお知らせが届いたのは、まだ暑さが続いていた昨年の夏
オレンジの封筒で「至急開封してください」って書いてあり、中を見ると「今回ドナー候補に選ばれました」という内容
その日は、母の四十九日の法要が終わった翌日だったから、ちょっと運命的なものを感じたわけ
母には骨髄移植という選択肢はなかった
けど、その患者さんは、ボクが選択すればまだ助かるチャンスがある
もしボクがその患者さんだったら・・・
もしボクがその患者さんの家族だったら・・・
もし母に骨髄移植のチャンスがあったら・・・
世界のどこに行ってでも、どんだけでも頭を下げてでも、助けたいと思った
骨髄移植には、HLA(白血球の型)が一致しなければならない
一致する確率は兄弟間で1/4、それ以外では数百から数万分の1
今回一致する候補者が10人いて、ボクはあくまでもドナー候補者のひとり
その中から、最終的にひとりが選ばれる(患者さんのドクターが決定)
骨髄移植には家族の同意が必要で、これが大きな壁となり、提供したくても最終同意を得られない人も多いらしい
ボクは両親が亡くなっているし、妻は一緒にドナー登録するとき、「あとで断るかもしれないなら登録しないで!」と強気だったのでもちろん賛成
そして、なんと最終的にボクが選ばれた!
まあ半分、自己満足って言えば、その通り
だけど、人の命に貢献できること、しかもそれがお金では買えないことだから、こんなに尊いことはないなって今は感じてる
守秘義務の関係で日付とかぼかしているし、その患者さんのことを伺い知ることはできないけど、元気になって、家族と笑顔で過ごせる日がきたらいいなって願ってる

食欲ないどころか「おかわりないと?」
で、ここからマーケティングの話になるけど(笑)、今回あなたに伝えたいのは、もっとも個人的なことが、お客さんがもっとも聞きたいことということ
お客さんは、あなたの商品やサービスのことよりも、あなたのパーソナルストーリーを聞きたい
そして、あなたがどんな体験をして?
どんな気持ちを感じたのか?
なぜ、その商品やサービスを販売したいのか?
シェアしてほしい
特に、心配・不安・焦り・悩み・不満などのマイナス感情は、見込み客も同じものを感じているからね
そして、もしあなたの過去の体験や感じた気持ちが見込み客の助けになるなら、そのストーリーをシェアして勇気づけてあげて
そうすることで、見込み客と感情的に深くつながれるよ
いつも言ってるけど、クチコミって感情的なことだからね
ただ、マイナス感情をシェアするだけじゃダメ!
それだと、ただのネガティヴな人だからね!
あなたが、その困難をどう乗り越えたのか? 何を支えにして、今に至ったのか? 勇気づけられた人や言葉、体験は何なのか?
そんなパーソナルストーリーをシェアしてね
P.S. 手術はまずボールペンの芯ほどの針を刺して、その内側にさらに細い針を骨まで刺すんだよね、それも100回以上!
妻は入院の1ヶ月前から、少しでも良い状態の骨髄を提供できるようにと、食事や健康管理をしっかりしてくれて、入院中もずっと付き添ってサポートしてくれた
でも今は何かあると、その傷跡をツンツンしてくる・・・あの日に帰りたい(笑)
今日は佐世保で商工会議所の研修に行ってきます!間に合ってよかった〜

この針でグイグイ〜!